デスクトップ仮想化の仕組みは? 3つの導入メリットと注意点を紹介
通常、パソコンを利用する際は、自身の端末に搭載されているOSやアプリケーションを利用して操作することが一般的です。
一方、自身の端末上ではなく、サーバ上にデスクトップ環境を置くことができるデスクトップ仮想化(VDI)という方法があり、ネットワークの大容量化と画面転送の高速化などの技術革新により、導入する企業が増えています。特に昨今では、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを実施する企業が急増しています。従来以上に、デスクトップ仮想化が、従業員の健康と家族を守りながら、働き方を犠牲にしないIT活用法として注目されています。
- デスクトップ仮想化って何?
- デスクトップ仮想化を導入するメリットは?
- デスクトップ仮想化を導入する時の注意点は?
本記事では、上記3つに焦点を当てて、デスクトップ仮想化についてわかりやすく解説します。
目次[非表示]
デスクトップ仮想化とは
デスクトップ仮想化とは、パソコンにインストールされているOS、アプリケーション、データなどをサーバに集約し、実行される仕組みのことをいいます。
そもそもデスクトップ仮想化とは、シンクライアントの画面転送型という実装方法の一つであり、さらに画面転送型には二つのタイプがあります。
シンクライアントの画面転送型
ユーザーが利用するクライアント端末の機能を必要最小限に抑え、サーバ側で処理を行う仕組みのことをシンクライアントと呼びます。
シンクライアントの実行方法は大きく2種類に分類されます。
- ネットワークブート型
- 画面転送型
デスクトップ仮想化は、シンクライアントの実行方式の画面転送型にあたります。
他の方法と大きく異なるのは、デスクトップ仮想化はクライアント端末側で直接システム処理を行わないという点です。
デスクトップ仮想化は、サーバ上にある仮想化されたデスクトップ環境を、クライアント端末から操作することで実現したシンクライアントです。
システム運用形態が異なる2つの選択肢
データ処理、保存などの多くの機能をサーバで行い、クライアント端末にはデータをほとんど残さないシンクライアント。画面転送型であるデスクトップ仮想化には、運用形態が異なる2種類の導入方式があります。
- クラウド型
- オンプレミス型
クラウド型は、ISP(プロバイダー)に委託して構築されたクラウド上の仮想環境を利用するタイプで、オンプレミス型は自社のデータセンターにサーバを構築し、自社内で管理と運用を行う形態のことを指します。
デスクトップ仮想化技術が登場した2008年頃は、自社内でインフラを構築して運用を行うオンプレミス型が主流でしたが、管理面での課題のほか、技術革新と社内のセキュリティ対策が重要視されるようになった背景もあり、最近ではクラウド型が主流になっています。
デスクトップ仮想化を導入するメリット
デスクトップ仮想化について最も気になるのは、デスクトップ仮想化で解決できる課題は何か?導入することでどのようなメリットがあるのか?という点です。
ここからは、デスクトップ仮想化のメリットについて紹介します。
コストの削減
まず、デスクトップ仮想化によって、クライアント端末の運用コストを削減することが可能です。
セキュリティ対策ソフト、OSメンテナンス、アップグレードなど、これまではそれぞれの端末ごとに行っていたインストール・更新などを、仮想化されたサーバ上で一括管理ができるため、運用コストの削減につながるのです。
さらに、クライアント端末はインターネット環境さえあれば操作ができるため、高機能なパソコンが不要になります。これにより、ハードウェア費用の削減も可能になります。
情報漏えいを防止
自社内の機密情報を保護するセキュリティ対策は企業にとって重要な課題です。
各自が端末を保有している場合、利用方法は各々に依存するため、セキュリティリスクをゼロにすることは困難です。
しかし、デスクトップ仮想化の場合は、クライアント端末にはほとんど作業データが残らないため、万が一の盗難や紛失被害などに遭遇しても、情報漏えいのリスクを低減することが可能です。
また、デスクトップ一括管理による不正アプリケーションの排除なども行えるため、自社のセキュリティポリシーをより強固にすることができます。
生産性の向上
自身の端末がある社内でしかできなかった作業が、デスクトップ仮想化の導入により、社内はもちろん、自宅、出張先、リモートオフィスなど、どこからでも自身の仮想デスクトップにアクセスできるようになります。
パソコンに限らず、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスからの接続が可能なため、パソコンの故障や災害時などのイレギュラーな際にも生産性を落とさず、業務継続計画対策に役立ちます。
デスクトップ仮想化の注意点
シンクライアントのデスクトップ仮想化には、端末側にリソースがないことで得られるメリットは多いものの、それはデメリットの裏返しでもあります。
ここからは、デスクトップ仮想化の導入に際する注意点について解説します。
サーバ側に多大なリソースが必要
デスクトップ仮想化を導入すると、通常であれば各端末に分散していたリソースがすべてサーバに集約されます。すべてがサーバ側で実行されるため、接続するユーザー数によってはネットワーク帯域を圧迫してしまうリスクもあります。ネットワークに強く依存するシステムのため、使い勝手に大きな影響を与えることも考えられます。
特定端末のレスポンス低下
デスクトップ仮想化を導入してから、特定端末のレスポンスが著しく低下してしまったという事例も多くあります。特にハイスペックの端末を利用していた場合は、仮想化されたデスクトップに切り替わることで、レスポンス低下を感じる可能性があります。
システム管理者への過度な負担
デスクトップ仮想化を導入すると、利用者に最適なパフォーマンスを提供するため、常にパフォーマンスを監視・管理する必要があります。これがシステム管理者の大きな負担になる場合が多く、システム障害が発生した時は一斉にすべての業務が停止してしまうため、システム管理者は常に細心の注意を払わなければなりません。
まとめ
顧客情報や機密情報など、端末で重要な情報を扱う機会が増えています。
近年、情報リテラシーの教育については、各社注力して取り組んでいると思いますが、個人がそれぞれ端末を保有している以上は、ローカル環境に機密データを保持することも可能であるため、インシデントの発生リスクを完全に防げる対策ではありません。
デスクトップ仮想化は、情報漏えいを防ぎながら安心安全に業務を行うことができるため、セキュリティリスクを最小限に抑えることが可能になります。
セキュリティ強化や端末の運用コスト削減を目指す場合は、デスクトップ仮想化を視野に入れてみてはいかがでしょうか?
「Cisco and Hitachi Adaptive Solutions」なら、高性能・高可用・高信頼な仮想化環境を提供することが可能となり、ネットワーク帯域の圧迫や、アクセスの集中にも対応できます。
仮想デスクトップ(VDI)基盤の最適化を行うCisco Workload Optimization Manager (CWOM)は、常に変動するワークロードを利用可能な最適リソースに再配置することで、最適なワークロード環境を常時提供できます。CWOMでは仮想デスクトップ利用者の需要に応じて、VDI-VMを動的に移動・増強を行います。これら自動化によりデスクトップ密度を向上し、パフォーマンスを大幅に向上することができます。
また、Cisco Intersightを利用することで、リモート環境のサーバ、ストレージ、仮想マシンの一元的な管理が可能となります。管理ポイントを削減し、ファームウェア、セキュリティ、インベントリの把握、変更、自動化ツールとの連携など、様々なメリットをご提供できます。
Cisco and Hitachi Adaptive Solutionsでは、仮想デスクトップの課題であったレスポンスの低下や管理者の負担といったネガティブ要素を排除することが可能です。
デスクトップ仮想化を検討している方は、ぜひご検討ください。