空間に新たな付加価値を創造! スマートビルディングについて紹介
“スマート化”というと、スマート家電やスマートホームなど、個人向けの商品・サービスを想像する方も多いのではないでしょうか。個人でIoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAIを搭載した家電や機器を設置してスマート化に取り組んでいる人も多く見られます。
企業においても様々な分野でスマート化が進んでおり、不動産分野では、建物や施設全体をスマート化したスマートビルディングに関心が寄せられています。本記事では、建物・施設とIoTを融合したスマートビルディングについて紹介します。
目次[非表示]
- 1.スマートビルディングとは
- 2.不動産業界でスマート化の意識が高まる背景
- 3.スマートビルディングが提供できること
- 3.1.入退室管理・プロアクティブなお客様のお出迎え
- 3.2.データの可視化・最適化
- 3.3.人流解析
- 3.4.ごみ箱モニタリング
- 3.5.三密対策
- 4.スマート化を実現するAI/IoTソリューション
スマートビルディングとは
スマートビルディングとは、IoTセンサーを施設内の各所に設置し、人流データ等を取得することや、自動制御ができる建物のことを指します。
得られたデータは、新たな不動産開発に活用できます。それだけでなく、「このビルはどれだけの人が集まっているから入店に適している」など、テナント誘致するときの根拠として使うことも可能です。
また、IoTによる自動制御は、人が管理しにくい場所や時間でも、状況に合わせた適切な管理が可能になります。スマートビルディングは、空間に新たな付加価値を創造する手段として、また、DXという大きな流れの中で「新たなデータ利活用の場」として期待されています。
不動産業界でスマート化の意識が高まる背景
近年の不動産業界は、新型コロナウイルス感染症や業績不振の影響から、大手企業では自社物件の売却、マンション・テナント等の空室率の上昇、賃料の下落といった課題を抱えています。
こうした課題を解決するための手段の1つがスマート化です。スマート化により、建物・施設に新たな付加価値をつけることで、新たな利用者の獲得・利用価値創出を図ることが期待できます。
スマートビルディングが提供できること
新たな付加価値創出として期待されるスマートビルディング。具体的にはどのようなことができるのでしょうか。ここからは、スマートビルディングが提供できることの具体例についてご紹介します。
入退室管理・プロアクティブなお客様のお出迎え
スマートビルディングでは、入退室管理や顧客のお出迎えをスムーズに行います。
ネットワークカメラやIoTデバイスを活用すると、人が訪れたことを自動で検知できます。
例えば、入退室管理。顔認証による入室管理を行えば、ICカードの盗難や偽造、共連れなどによる不正入室の防止に役立ちます。「いつ・だれが・何分間入室したか」などのデータを残すこともできるため、情報セキュリティ対策の強化につながります。
また、従業員を対象とした入退室管理だけではなく、お客様の来社を検知・通知し、従業員はプロアクティブなお客様のお出迎えを行うことができます。実際に、ホテルをはじめとした宿泊業では、この取り組みが既に行われています。
データの可視化・最適化
スマートビルディングは、温度、湿度、CO2濃度、室内の人数といった、様々なデータを可視化できます。
具体的には、温度、湿度のデータから空調利用を制御しエネルギーの無駄を減らします。また、会議室やトイレなどの利用状況を可視化し、利用者に表示させることで利便性を高めます。CO2濃度をモニタリングすることで、適切な換気を行うことができます。IoTデバイスから取得するデータをもとに、ビル全体のエネルギー管理を最適化し、効率的なエネルギーの利用が可能になります。
人流解析
スマートビルディングは、人の動きや流れを検知することもできます。
AIによる映像解析機能を搭載したネットワークカメラを使うと、その場に訪れた人数のカウントや性別、年代などのデータの取得が可能です。
商用ビルのテナントフロアなどで利用すれば、マーケティングに役立てられます。こうしたデータを商品開発や現場のレイアウト構成などに取り入れることで、顧客の要望により近づいた提案を行えるようになります。
ごみ箱モニタリング
スマートビルディングは、ごみ箱の管理も自動で行えます。IoTセンサーつきのごみ箱は、容量がいっぱいになると清掃員に自動で通知します。何度も確認に足を運ぶ必要がなくなるため、清掃業務も効率よく行えます。
快適な環境は生産性にも大きく影響を与えるとともに、業務の効率化にもつながります。
三密対策
スマートビルディングは、三密対策をスムーズに行えます。
AIによる映像解析機能を活用すると人の密集度も把握できるため、新型コロナウイルス感染症対策にも役立ちます。
たとえば、エントランスに人が密集した時点で、アナウンスを行ったり、職員に通知したりすることが可能です。常時目視で監視していなくても状況を把握でき、非接触で三密を回避するための対策を取ることができるようになります。
スマート化を実現するAI/IoTソリューション
スマートビルディングにはAIを活用した映像解析ソフトウェアと、データ制御を行うプラットフォームが欠かせません。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提供する映像解析ソフトウェア『IVAR』(※)は、映像、画像をAIが解析し、人間の顔認識、行動解析、車両検出などを高精度かつリアルタイムで分析する、画像認識AIソリューションです。
AIに関する専門知識や技術は一切不要で、インストールしてすぐに使える学習済みのAIが搭載されています。既存のカメラシステムが活用できるため、すぐに導入可能です。
同じくCTCの提供する『Gravio』(※)は、IoTセンサーの利用にかかわるものは、サブスクリプションとしてすべて提供されるソリューションです。IoTデバイスや、それを制御するアプリケーションが提供されるので、これからIoT活用を始められる方でもデータの収集、IoTによる自動化・省力化を簡単に実装することができます。
※ IVARならびにGravioのサービス提供はCTCでは現在行っておりません。
まとめ
IT技術が進化して、様々な場所やモノがスマート化しています。スマート化の流れは家電や住宅といった個人から、空間や建物へと広がりを見せています。また、建物を建てたあとからでも取り付けられるAI/IoTの活用は、ビルのスマート化において「空間に新たな付加価値を創出」を、少ない負担で実現することができます。
スマートビルディングは、IoTセンサーによる自動制御で、入退室管理や様々なデータの可視化、人流解析など、これまで人が行っていた多くのことを代替します。ビル全体のエネルギー管理も可能なため、無駄なコストを削減し、適切なエネルギー利用をサポートします。
また、スマートビルディングは三密対策にも役立ちます。IVARやGravioを活用すると、目視による確認なしに、室内の状況を把握できます。三密状態になった場合にいち早く対策を取ることが可能です。このように、IoTは単なるビルという場所を、生産性や業務効率向上といった付加価値のある場所に変えられます。
IoTの活用にご興味がある方は、ぜひCTCにご相談ください。