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自治体に求められる業務継続計画(BCP)とは? 取り組み事例を交えて解説

突如襲いかかる自然災害。過去の災害から得た教訓を活かすために、各自治体では“業務継続計画(BCP)”の策定が進められています。

災害対応は自治体に任された重要な役割です。行政が機能しなければ、インフラの復旧はもちろん、被災地住民は公的支援を受けることができません。
損害をできる限り抑えて一刻も早く業務を再開させるために、各自治体ではどのような対策が行われているのでしょうか。

この記事では、自治体における業務継続計画(BCP)の必要性や、各自治体が行っている具体的な対策事例を紹介します。
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目次[非表示]

  1. 1.業務継続計画(BCP)の必要性
  2. 2.自治体に求められるBCP
    1. 2.1.【1】首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制
    2. 2.2.【2】本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
    3. 2.3.【3】電気、水、食料等の確保
    4. 2.4.【4】災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保
    5. 2.5.【5】重要な行政データのバックアップ
    6. 2.6.【6】非常時優先業務の整理
  3. 3.各自治体が行っている対策準備の事例
    1. 3.1.首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制の取り組み
    2. 3.2.本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
    3. 3.3.電気、水、食料等の確保
    4. 3.4.災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保
    5. 3.5.重要な行政データのバックアップ
    6. 3.6.非常時優先業務の整理
  4. 4.まとめ
  5. 5.重要な行政データのバックアップは災害対策を


業務継続計画(BCP)の必要性

日本では近年、風水害や地震といった甚大な被害をもたらす大規模災害が相次いでいます。

いつ見舞われるか分からない災害。災害対応の役割を担っている自治体は、あらかじめ業務継続計画(BCP)を策定し、不測の事態に備えておくことが求められています。

自治体における業務継続計画とは、災害などの事態が発生した際、損害を最小限に抑えながら、限られた職員や施設で業務の早期再開を図るために定める行動計画のことです。
自らが被災した場合でも業務に支障がでないよう、業務の執行体制・対応手順・継続に必要となる資源の確保などをあらかじめ定めておくことで、迅速な復旧を目指します。

2019年12月に消防庁から報告された『地方公共団体における業務継続計画策定状況の調査結果』によると、全都道府県では業務継続計画が策定されているものの、市町村に関しては89.7%と100%には至らないことが分かっています。(2019年6月時点)

業務継続計画の策定が遅れている小規模の市町村は、職員が少ないことに加え、庁舎の耐震化も遅れがちという現状です。大規模災害発生時は、とくに厳しい事態が発生することも想定されます。未策定の自治体には、年々激甚化している自然災害に備え、できるだけ早く業務継続計画の策定を進めることが求められるでしょう。

出典:総務省消防庁『地方公共団体における業務継続計画策定状況の調査結果


自治体に求められるBCP

2015年5月、内閣府は、全国の自治体の災害に対する対応力を向上させるため、『市町村のための業務継続計画作成ガイド』を掲げました。
以下では、当ガイドの内容を基に、必ず定めなければならない6つの要素を解説します。

出典:内閣府『市町村のための業務継続計画作成ガイド

【1】首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制

首長が不在の場合の職務の代行順位を定める。また、災害時の職員の参集体制を定める。
・緊急時に重要な意思決定に支障を生じさせないことが不可欠。 
・非常時優先業務の遂行に必要な人数の職員が参集することが必要。

2013年、台風26号の影響で大規模な土砂災害が発生した際、町長および副町長の不在によって初動対応が遅れたという事例があります。

迅速な対応をとるためには、「誰が」発出するのかを明確にし、職務の代行者が全員不在になることがないような運用が求められます。 併せて、非常時の業務遂行にあたる職員の参集については、安全性の確保なども考慮が必要になるでしょう。

【2】本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定

本庁舎が使用不能となった場合の執務場所となる代替庁舎を定める。

 ・地震による建物の損壊以外の理由で庁舎が使用できなくなる場合もある。

2011年、東日本大震災によって本庁舎が崩壊したことで、実際に市町村の28自治体が使用不可能になったという事例がありました。

本庁舎が津波や洪水、火災などで使用できなくなった場合を想定して、代替庁舎となる所有施設をリストアップしておくことが大切です。

【3】電気、水、食料等の確保

停電に備え、非常用発電機とその燃料を確保する。また、業務を遂行する職員等のための水、食料等を確保する。

 ・災害対応に必要な設備、機器等への電力供給が必要。

 ・孤立により外部からの水、食料等の調達が不可能となる場合もある。

2010から2011年にかけて発生した年末年始豪雪により、本庁舎に非常用発電機の準備はあったものの燃料が半日分しかなかったという事例があります。

災害対応において、設備や機器への電気供給は必要不可欠です。また、状況によっては庁舎が孤立し、外部から支援を受けることができなくなる可能性もあります。復旧の目途が立てられない状況を想定して十分な水や食料を確保しておきましょう。

【4】災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保

断線、輻輳等により固定電話、携帯電話等が使用不能な場 合でも使用可能となる通信手段を確保する。

 ・災害対応に当たり、情報の収集・発信、連絡調整が必要。

2004年、新潟県中越地震によって起きた停電で県防災行政無線が使用できなくなったという事例があります。

災害対応には迅速な情報収集・発信・連絡が欠かせません。災害時もつながりやすい通信手段を確保しておく必要があります。また、SNSも災害時の通信手段となり得ます。住民等への情報伝達の方法として検討するのもよいでしょう。

【5】重要な行政データのバックアップ

業務の遂行に必要となる重要な行政データのバックアッ プを確保する。

・災害時の被災者支援や住民対応にも、行政データが不可欠。

2011年に起きた東日本大震災によって、被災県における庁舎内のデータが滅失したという事例があります。

被災者支援や住民対応において、行政データは欠かせません。庁舎が被災することに備え、災害復旧も視野に入れたバックアップシステムが求められます。
また、いざというときに必要なデータが不足していたということのないよう、正確かつ迅速にデータを復元できる体制を検討しましょう。

【6】非常時優先業務の整理

非常時に優先して実施すべき業務を整理する。

・各部門で実施すべき時系列の災害対応業務を明らかにする。

非常時における業務の優先順位を定めることは、初動対応の成否に影響します。各部門の対応を、発生直後から数日後、1週間後など時系列で明確にしておくことが大切です。非常時優先業務を整理したあとは、参集可能な職員で対応できるかも併せて整理し、検証することが望ましいとされています。


各自治体が行っている対策準備の事例

各都道府県や市町村は、実際にどのような業務継続計画を策定しているのでしょうか。
以下では、内閣府が参考資料として公表している事例集を基に、“特に重要な6要素”の具体例を一部抜粋して紹介します。今後の策定・策定見直しの参考にしてください。

出典:内閣府『事例集(対策準備編)

首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制の取り組み

静岡県三島市では、災害時における首長不在時の対応として、市長・副市長・教育長・消防長の職務代行の順位を第2順位まで定めたほか、各部長・各課長の職務代行まで定めています。

本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定

兵庫県明石市では、災害時に本庁舎が使えなくなった場合の対応として、代替庁舎となる8つの代替施設候補をリストアップし、住所・構造・階数・延床面積・築年数を取りまとめて一覧化しています。

電気、水、食料等の確保

京都府宇治市では、災害時の電力確保のために非常用発電機の継続可能時間・設置場所・供給先・供給方法のほか燃料の確保方法を明文化し、非常用発電機の現状とその対策が理解できるようになっています。
また、電力供給の優先順位についても定めています。

災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保

山形県では災害時も情報収集や通信を行えるように、部局のリストと各部局の回線数を電話・FAX・災害時優先電話・携帯電話・衛星携帯電話・防災行政無線に分けて管理しています。

重要な行政データのバックアップ

鳥取県日吉津村では、情報システムの現状と課題を一覧化し、クラウドや庁舎外のサーバの委託管理などでバックアップを実施しています。
また、庁舎内のサーバは停電時に備え、非常用電源および無停電電源装置に接続されています。

非常時優先業務の整理

北海道石狩市は災害対応業務に対する非常時優先業務の選定手順を定め、非常時における各業務の目標優先度や実施可能優先度を記載しています。
結果だけでなく非常時優先業務を整理するにあたっての選定手順を理解できる仕組みになっています。


まとめ

多発する大規模災害を受けて、災害対応の役割を担う自治体では業務継続計画の策定が求められています。

業務継続計画には、限られた職員や施設で早期復旧を目指すための行動計画が定められていますが、地方の市町村を含めるといまだ100%に至っていません。

不測の事態が発生した際、住民の生活を一刻も早く回復させるためには実効性のある計画を策定し、継続的運用を図ることが必要といえます。

また、多くの自治体が行政業務の遂行に情報システム等を活用している現在、行政データの保護は不可欠です。いざというときに備え、災害復旧を視野に入れたバックアップシステムの導入が求められます。


重要な行政データのバックアップは災害対策を

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バックアップによるBCP/災害対策


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