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ハザードマップとロケーションインテリジェンスの有効活用

前回は、災害時以外でも活用が増えている「ハザードマップ」をビジネスで活用するには「ロケーションインテリジェンス」の技術が最適であることをお話しました。また、事例としてオーストラリアの都市開発に関する市民向け情報公開もご紹介しました(詳細は前回のコラム「ますます注目されるハザードマップ。ビジネスでどう活用する?」をご参照ください)。

残念ながら日本では、ロケーションインテリジェンスの機能を活用して情報発信をしている自治体はごく少数です。ですが、今後はその動きが加速されることになるかもしれません。というのも、2020年9月に施行された「都市再生特別措置法等の一部改正」の中で頻発・激甚化する自然災害に対応する考慮が含まれるようになったからです。ご自分のビジネスとは無関係と思われるかもしれませんが、「人々の生活や経済活動等の場を提供」する都市の開発計画に関するものです。将来的には人やモノの流れも変わってきます。ビジネスという経済活動と決して無関係とは言い切れません。

この記事では、都市再生特別措置法等の一部改正について皆様のビジネスへの影響とハザードマップとロケーションインテリジェンスを活用することで何ができるかについてご説明します。
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目次[非表示]

  1. 1.「都市再生特別措置法等の一部を改正」のビジネスへの影響について
    1. 1.1.都市再生特別措置法とは
    2. 1.2.都市再生特別措置法の一部改正とは
    3. 1.3.人やモノの流れが変わってくる
  2. 2.ハザードマップは整備途上
    1. 2.1.ハザードマップの今の状況
    2. 2.2.ハザードマップを有効活用するには
  3. 3.まとめ

「都市再生特別措置法等の一部を改正」のビジネスへの影響について

都市再生特別措置法とは

最初に、今回の改正の元となっている「都市再生特別措置法」について簡単にご説明します。この法律は「都市の再生」をはかるために2002年に制定されました。小泉内閣の時代です。この法律によって「都市再生特別地区」が創設され、渋谷ヒカリエやあべのハルカスなどの注目エリアが計画的に開発されました。

都市再生特別措置法の一部改正とは

改正前までは、安全で魅力的なまちづくりを推進するための考慮がなされていませんでしたが、今回の改正により災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制/移転の促進/防災まちづくりの推進が強化されました。たとえば、災害レッドゾーン(※1)では、これまで禁止されていた分譲住宅や賃貸住宅・オフィスの建設だけでなく、自社ビル・店舗や病院といった業務用施設の開発も原則として禁止、浸水や洪水のリスクがある災害イエローゾーン(※2)での開発も安全対策や避難対策をとる条件をつけられることなりました。もちろん、災害ハザードエリアからの移転の促進も含まれます。

※1:災害危険区域(崖崩れ、出水等)/ 土砂災害特別警戒区域 / 地すべり防止区域 /急傾斜地崩壊危険区域
※2:浸水想定区域 / 土砂災害警戒区域 / 都市洪水想定区域・都市浸水想定区域


出典:国土交通省ホームページ

人やモノの流れが変わってくる

これにより、何が変わってくるのでしょうか。国土交通省が実施した自治体へのアンケートでは、災害レッドゾーンに病院やコンビニなど開発許可をしていた件数が47件あったそうです。また、災害イエローゾーンにおいては、居住を誘導すべき区とされる「域居住誘導区域」が含まれる自治体も存在しています。

今後は、災害レッドゾーンやイエローゾーンを避けた都市開発を行うよう制限されますし、これらのエリアからの移転計画も進められます。これまでの人やモノの流れに対し、確実に変化が訪れることになるのです。例えば、災害の可能性が低いエリアに人口が集まってきますので、小売業では出店計画の見直し、医療関係では病院の移転を検討なども必要となる可能性が出てきます。また、災害イエローゾーンに居住誘導区域が含まれる自治体では、災害対策の事業が活発化するでしょうし、そのエリアにある小売り販売店では災害関連のニーズが増えてくることでしょう。不動産業では、駅近であっても災害エリアに該当するなら賃貸物件のニーズが変わってきます。金融業界では企業だけでなく個人の保険の険料見直しも行われる流れが出てくかもしれません。これら以外にも様々なビジネスへの影響が考えられます。

出典:国土交通省ホームページ

ハザードマップは整備途上

では、災害被害予測のよりどころとなるハザードマップは全てのエリアが公開されているのでしょうか。

ハザードマップの今の状況

残念ながら全てのエリアでハザードマップは作成されておらず、現時点でも公表できていないエリアが存在します。また、作成後に発生した災害の被害状況に応じてハザードエリアの見直しも都度行われています。つまりハザードマップは更新し続けているのです。

そのため、ハザードマップを利用するには、常に最新のものを確認する必要があります。同時に、ビジネスへの影響も都度分析する必要がでてきます。ですが、ハザードマップが更新される度に分析準備の時間がとられるようでは、これからのビジネス競争に後れをとることにもなりかねません。

ハザードマップを有効活用するには

そこで、ぜひ活用して頂きたいのが「ロケーションインテリジェンス」です。最新のハザードマップをロケーションインテリジェンスにとりこめば、すぐに分析が始められます。ハザードマップが変更されたら、既にある分析対象のデータを使い変更前と同じ分析もできます。また、過去のハザードマップと最新のハザードマップを重ねて表示できますので、過去と現在の影響を視覚的に比較することもできます。

このように、ハザードマップにロケーションインテリジェンスを利用することで、分析準備の時間を短縮でき、ビジネスへの影響を把握することができるのです。

まとめ

ロケーションインテリジェンスを活用することは、皆様のビジネスへの影響を把握し、対応に着手する時間を削減できます。ビジネス活動をより加速できます。ぜひロケーションインテリジェンスにご注目いただき、ビジネスへの活用をご検討いただけましたら幸いです。

伊藤忠テクノソリューションズが提供する顧客データ統合ソリューション「Spectrum」(※)は、企業が保有する様々な顧客データを平準化、クレンジングし、高品質な顧客データ基盤を生成します。そのデータ基盤に、外部からの位置情報や統計情報などを付加し、ロケーションインテリジェンスを活用することで、高度な測定・比較・分析・可視化を実現しています。本記事を通して、ご関心をお持ちになられた方は、Spectrumをご検討ください。

※ Spectrumのサービス提供は伊藤忠テクノソリューションズでは現在行っておりません。

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